【正直不動産】負動産|相続放棄と任意売却という処分方法について解説
- 2024.04.11
- お役立ち記事
最近、所有しているだけで固定費がかかってしまう不動産、いわゆる「負動産」の維持・管理に困り、任意売却を検討されている方が多いようです。
そこで今回は、人気漫画『正直不動産』の内容に関連して「負動産」について解説します。この記事では、負動産の相続放棄や処分方法(寄付/相続土地国庫帰属制度/任意売却)を紹介します。
住宅ローン・借金の返済、税金の支払いにお困りの方は、ぜひご覧ください。
【正直不動産】第81~82話「負動産」のあらすじ
登坂不動産の営業マン、永瀬財地(ながせさいち)は、新潟県の越後湯沢にあるリゾートマンション「バブルズ湯沢」を所有する不破真海子(ふわまみこ)の売却活動(買主探し)を担当することになりました。
真海子は、登坂社長が昔働いていた住元不動産の元同僚、不破春夫(ふわはるお)の一人娘で、「バブルズ湯沢」を春夫から相続したのだといいます。
後日、永瀬は「バブルズ湯沢」の購入を希望する中国人男性、馬正非(ばせいひ)とともに新幹線に乗って談笑しながら新潟県へ向かっていました。
すると後ろに、2人の会話を盗み聞きしている人物が。その人物とは登坂不動産の元社員、黒須(くろす)でした。彼は永瀬が「ゴミの山」だと言い放った負動産を「宝の山」だと言い…
負動産とは?
負動産とは、所有しているだけで維持費や税金など管理コストが無駄にかかってしまう資産価値の低い不動産のことです。現にいま日本では、少子高齢化などの影響で、田舎や遠方の地域を中心に、空き家をはじめとする負動産が増えています。
負動産の具体例は以下の通りです。
- 相続物件
- 空室率高めの賃貸物件
- バブル期にできたリゾートマンション など
こうした負動産は、定期的にメンテナンスしないと劣化します。そのため、維持・管理に手間や費用がかかります。自治体から管理がずさんであるとして「特定空き家」やその前段階である「管理不全空き家」の指定を受けると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がる可能性があります。
また、もし倒壊でもして近隣住民に危害を加えてしまったら大変です。損害賠償請求される恐れもあります。
負動産の相続放棄とは?メリットと注意点
負動産の相続放棄とは、負動産を相続せず手放すことです。相続放棄では、相続人を元から相続人でなかったものとして考えます。
負動産を相続放棄するメリット
不動産を相続せず手放すことでリスクを回避でき、故人・親族が生前に滞納した住宅ローンをはじめとする借金や固定資産税などを自分で支払わずに済みます。
負動産を相続放棄する際の注意点
ただし、相続放棄によって、本来であれば継承できるはずのプラスの資産も相続できなくなるうえに、相続財産管理人(相続人が放棄した不動産を国に帰属させる役割を担う者)が決まるまでは管理責任があるため、注意が必要です。
また、自分が相続しない代わりに、遠い親戚など他の相続人が相続することになります。そうなると、負動産の所有権が他の相続人に移転し、後々トラブルに発展しかねません。
負動産を相続放棄できる期間と方法
負動産の相続放棄は、相続した事実を知った時点から3か月以内に行うことが必要です。相続放棄をする時は、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出して、相続財産管理人を選びましょう。その際、他の相続人の同意は要りません。
負動産の処分方法―寄付・相続土地国庫帰属制度・任意売却
負動産を処分する方法は、相続放棄の他にもあります。負動産を処分したい人におすすめの方法は、以下の3つです。
寄付(贈与)
負動産を処分したいとき、寄付(贈与)するという手があります。負動産の主な寄付先は、個人・法人・自治体です。ただし、寄付先によっては引き取ってくれないこともありますので注意しましょう。
個人から個人への贈与
贈与した側は課税されませんが、贈与を受けた側に贈与税がかかります。ただし、贈与を受けた側が贈与税の納付をしなかった場合、贈与をした側も納税義務を負います(連帯納付義務)。
個人から法人への贈与
贈与した個人には、みなし譲渡所得税がかかります(公益法人等に寄付した場合に、一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは非課税)。
贈与を受けた法人は、時価で不動産を取得したとして、その受贈益に対して法人税がかかります。
個人から自治体への寄付
手続きに際して、窓口に相談する必要があります。自治体は寄付を受けることによって固定資産税・都市計画税といった税収が減るため、寄付を受けることには消極的なようです。
相続土地国庫帰属制度
相続土地国庫帰属制度とは、相続人が所有する“土地”を国に譲る制度のことです。
最近は土地を手放したい人が増え、相続の時に登記されずに放置される「所有者不明土地」が発生しているという社会的背景を受けて、令和5年(2023年)4月27日から始まりました。
この相続土地国庫帰属制度を利用することで、活用することも売却することもできない土地を手放せる可能性があります。負動産を「手放したい」という方は、法務局へ行き、手続きを済ませましょう。
出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」任意売却
負動産を処分したいとき、任意売却するという手もあります。任意売却とは、金融機関や保証会社のような債権者の合意のもと行う不動産の売却方法です。
競売・公売・差し押さえになると、相場価格の50~70%ほどしか値が付きませんが、任意売却では相場価格に近い価格で売れます。しかも任意売却は、相続放棄と違って、手放した後に管理責任を負うこともなくなります。
負動産は、時間が経つと資産価値が下がり、どんどん売れにくくなっていきます。資産価値がこれ以上下がる前に、任意売却されることをおすすめします。負動産を任意売却で手放せば、肩の荷が下りて、心が楽になるでしょう。
まとめ
負動産とは、所有しているだけで維持費や税金など管理コストが無駄にかかってしまう資産価値の低い不動産のことをいいます。
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