任意売却できる期間とは?タイムリミットは競売開札日

住宅ローンや税金を滞納して自宅を売却せざるを得なくなってしまった方の中で、「任意売却ができるのは一体いつまでか?」気になっている方は少なくありません。

そこで今回は、任意売却できる期間について解説します。この記事を読めば、競売と任意売却の流れがわかるようになります。記事の最後では、任意売却する時のポイントも紹介していますので、自宅の売却を検討されている方は、ぜひご覧ください。

任意売却とは?

任意売却とは「住宅ローンなどの借金が返済できない時に、債権者の同意を得て債務者が不動産を売却すること」です。一般販売による自宅の売却が叶わなかった債務者の方の多くが希望する売却手法で、競売回避の方法としても知られています。

任意売却の販売活動は、滞納していなくてもできるケースもありますが、滞納4~6か月目に債権者による代位弁済(保証会社が債務者に代わって金融機関に借金を一括で返済すること)がされて初めて行われるケースがほとんどです。

競売との違い

競売とは「債権者の申し立てに応じて裁判所が債務者の不動産を差し押さえ、強制的に売りに出すこと」です。任意売却と競売は、不動産を売却して債権回収するという点では同じですが、下記のような違いがあります。

売却意思(債務者の意志で売却しているかどうか)

任意売却は債務者が自分の意志で売却するのに対し、競売では債務者が売却したいかどうかに関係なく裁判所によって強制的に売り出されます。

売却価格

任意売却の方が高く売れます。任意売却は市場価格に近い価格(相場の8~10割)で売れますが、競売は相場の5~7割ほどの値しか付きません。

残債の返済方法

任意売却は分割で返済できますが、競売は一括(少額であれば分割での返済が認められるケースも稀にある)での返済を求められます。

引っ越し費用と期日

引っ越し費用は任意売却が売却代金から捻出できるのに対し、競売は基本的に引っ越し費用が出ません(ただし、買主との交渉次第でもらえるケースもある)。また、引っ越しの期日は任意売却の場合、債権者と相談のうえ自分で決められますが、競売では裁判所が決めた日までに明け渡す必要があります。

プライバシー

任意売却では守られます。一方、競売では守られません。住宅ローンを滞納して競売になったことは、近所の人に知られてしまいます。

競売の流れ

競売の流れは下記の通りです。

  1. 金融機関から督促状が届く(滞納2~3か月)
  2. 滞納金の一括返済を求められる(滞納3~4か月)
  3. 保証会社から代位弁済通知が届く(滞納4~6か月)
  4. 債権者が裁判所に競売を申し立てる(滞納7~8か月)
  5. 競売開始決定通知が届く(滞納9か月)
  6. 裁判所の執行官が物件を調査しに行く(滞納10~11か月)
  7. 開札日が通知される(滞納12~13か月)
  8. 競売開札日(滞納15~16か月)

以下では、詳しく解説します。

1. 金融機関から督促状が届く(滞納2~3か月)

住宅ローンや税金を1か月滞納すると、金融機関から電話がきたり、支払い通知のはがきが届いたりしますが、滞納してから2~3カ月経つと、金融機関から督促状が届きます。

2. 滞納金の一括返済を求められる(滞納3~4か月)

この時期になると「期限の利益喪失」通知が自宅に届き、残債を一括で返済しなければいけなくなります。ここでいう期限の利益喪失とは「ローンを分割で返済する権利を失うこと」です。

3. 保証会社から代位弁済通知が届く(滞納4~6か月)

住宅ローンや税金を4~6か月滞納すると、保証会社から代位弁済したことを知らせる通知が届きます。通常、任意売却できるようになるのもこのタイミングです(ただし、滞納なしでも任意売却できるケースもある)。このタイミングで任意売却の申し出をすれば、競売の申し立てを猶予してもらえるかもしれません。理由は債権者にとって競売は申し立てに費用がかかるうえに、残債が多く残るためです。

4. 債権者が裁判所に競売を申し立てる(滞納7~8か月)

代位弁済を通知してもなお債務者が支払いに応じない場合、ついに債権者(保証会社)が動き出します。支払いに応じる場合は、同じ債権者でも窓口が金融機関から保証会社に変わっていますので、連絡先に注意しましょう。

5. 競売開始決定通知が届く(滞納9か月)

債権者による競売の申し立てがされてから1か月後、競売開始の決定通知が自宅に届きます。任意売却で買い手が見つかるまでには最大で6カ月かかります。滞納15か月目の半年後が開札日なので、遅くてもこの時期までには販売活動をスタートさせたいところです。

6. 裁判所の執行官が物件を調査(滞納10~11か月)

通知が届いて1か月後、裁判所の執行官が物件の現況を調査しにやってきます。また、競売入札を検討している買主が物件の様子を見に来ることも珍しくありません。

7. 開札日が通知される(滞納12~13か月)

住宅ローンや税金を滞納してから1年ほど経つと、ついに競売の開札日を知らせる通知が自宅に送られます。

8. 競売開札日(滞納15~16か月)

通知が届いてから約2~3か月後が開札日です。売主はこの日までに手続きが済ませられれば、競売を取り下げられますが、タイムリミット(開札日の1~2日前)を過ぎてしまうと任意売却できないどころか自宅が競売になってしまいます。

任意売却できる期間は約1年

債務者が住宅ローンや税金を滞納し始めてから競売開札日を迎えるまでの期間は約1年半(16か月)ですが、任意売却できる期間は約1年です(下記の通り、厳密には任意売却の販売活動をいつ始めるかによって異なるので注意)。

  • 代位弁済(滞納4~6か月目)される前・・・1年以上
  • 代位弁済(滞納4~6か月目)された後・・・1年以内

ただし、以下のケースでは代位弁済後でも任意売却できる期間が1年以上になることがあります。

  • 債権者に競売の申立てをされる前に任意売却の申し出をすることで、猶予できたケース
  • 買主と売買契約の条件が合わないケース

任意売却のタイムリミットは開札日の1~2日前

任意売却できる期間のタイムリミットは開札日の1~2日前です。任意売却は手続きがタイムリミット(開札日の1~2日前)よりも前に完了すれば、実現できますが、このタイムリミットを過ぎてしまうと、できなくなりますのでご注意ください。

任意売却の流れ

任意売却の流れは下記の通りです。

  1. 不動産業者を探す
  2. ローン残高の確認と価格査定
  3. 債権者の同意をもらう
  4. 販売活動スタート
  5. 買主と売買契約を締結
  6. 決済と引き渡し
  7. 残債の支払い

以下では、詳しく解説します。

1. 不動産業者を探す

まずは自分の希望に合った業者を見つけ、その業者と媒介契約を結びましょう。その際、「残債を少しでも多く減らせるか」「住み続けられるか」「買戻せるか」を業者選びの選定基準としている方が多い印象です。

2. ローン残高の確認と価格査定

任意売却は滞納4~6か月目の代位弁済後であれば、ローンの残高が査定価格(売却価格)より高くても実現できます。例)ローンの残高2,000万円>査定価格(売却価格)1,200万円。ただし、残債が多く残るケースやローンを組んでからの日が浅い(年数が経っていない)ケースでは任意売却が認められないこともあります。

3. 債権者の同意をもらう

任意売却は成立しないこともあります。たとえば、債権者と交渉しても同意を得られなかったケースはその典型例です。任意売却は債権者の同意なくして実現できません。任意売却ご希望の方は、自宅を売却しても良いか保証会社に許可を取りましょう。

4. 販売活動スタート

債権者からの同意を得たら、いよいよ任意売却の販売活動スタートです。内見の際、買主に良い印象を持ってもらえるよう部屋をきれいに片づけておくことをおすすめします。その方がすぐに買い手がつくでしょう。

5. 買主と売買契約を締結

買主と売買契約を結ぶときは、売却価格の決定にお気を付けください。一般販売であれば売主が決められますが、任意売却の場合、最終的に売却価格を決めるのは債権者です。売却価格を下げたくない方は、債権者と交渉しましょう。一般の方が対処するのは難しいため、任意売却の経験が豊富な業者に任せることをおすすめします。

6. 決済と引き渡し

契約を結んだら、買主に決済してもらい、物件を引き渡しましょう。このとき、引っ越し費用が売却代金から持ち出せますが、引っ越したくない方はこのタイミングでリースバック契約を結ぶことで住み続けられるかもしれません(所有権は買主に移ります)。

その際、一般の不動産業者が物件を購入しても転売してしまうため、売主は住み続けられませんが、ミライエではリースバックや数年後の買戻しの成功事例が数多くあります。これは、物件を買い取るミライエ会員の個人投資家は、賃貸利回りで家賃収入を得ることを目的としているためです。

7. 残債の支払い

競売の場合、一括での返済を求められますが、任意売却は売却後に残債が残ってしまっても、分割で支払うことが可能です。その際、任意売却でも競売でも残債額があまりにも大きく、返済できそうにない場合は自己破産や個人再生、リスケジュールする手もあります。

任意売却する時のポイント

任意売却する時に押さえておきたいポイントは次の2つです。

  • なるべく早めの対応を心掛ける
  • 不動産売買のプロに任せる

以下では、詳しく解説します。

なるべく早めの対応を心掛ける

任意売却は対応が遅れると最悪の場合、自宅が競売になってしまいます。競売になると次のような事態に見舞われます。

  • 残債が多く残り、返済が大変
  • 引っ越しの費用や期日に悩まされる
  • 近所に知られる
  • 遅延損害金が膨らむ など

このように、競売は売主には何1つ良いことがありません。対応が遅れると、任意売却の販売活動に費やせる時間が減ってしまいます。また、滞納金は自己破産しない限り、遅かれ早かれ支払うことになるので、早めに対応する必要があります。

実際、任意売却の手続きはタイムリミット(開札日の1~2日前)までに完了していれば実現できますが、買い手が見つかるまでに約3~6カ月かかるので、なるべく早く取り掛かった方が良いと言えます。

そのため、すでに滞納している方は売却活動の時間的な余裕を確保するために、遅くても競売開始決定通知が届くタイミング(滞納9カ月)までには任意売却の手続きを進めなければなりません。

このように任意売却は、早く対応すればするほど、その後の金銭的・精神的な負担が軽くなります。住宅ローンや税金の支払いでお困りの方はすぐに対応しましょう。

不動産売買のプロに任せる

任意売却をするときは不動産業者に任せましょう。自分でやると次のような事態に見舞われます。

  • 任意売却が認められない可能性が高まる
  • 高く売れない
  • 手間がかかる
  • 買い手を見つけられない など

特に、売却価格・競売取り下げ・残債の返済計画といった債権者との交渉を自分でやるのは大変です(税金を滞納しているケースでは、税務署との交渉も行います)。

しかし、不動産業者であればどこでも良いというわけではありません。任意売却に特化した業者は専門知識やノウハウを持っているため安心して任せられますが、任意売却の実績の少ない不動産業者は経験が浅いだけに売主の利益を損ねる可能性があります。

また、業者を選ぶときは選定基準を設けておくと良いでしょう。実際、売主の方の中には「売却後もサポートしてくれるか」「残債・リースバック・自己破産・引っ越し・生活保護に対するサポートが手厚いか」を業者選びの軸としている方が多く見受けられます。

まとめ

任意売却とは「住宅ローンなどの借金が返済できない時に、債権者の同意を得て不動産を売却すること」です。一方、競売とは「債権者の申し出に応じて裁判所が債務者の不動産を差し押さえ、強制的に売りに出すこと」です。

両者は不動産を売却するという点では同じですが、「売却意思」「売却価格」「残債の返済方法」「引っ越し費用と日時」「プライバシー」などに違いがみられます。滞納し始めてから開札日を迎えるまでの期間は約1年半ですが、任意売却できる期間は約1年です。任意売却する時は「なるべく早めの対応を心掛けること」と「不動産売買のプロに任せること」が欠かせません。

ミライエは任意売却に対応しており、買い手となる1万人の個人投資家会員がいるため、販売活動をスムーズに進められます。競売を回避したい方や、自宅の売却を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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